Web評論誌『コーラ』40号に〈心霊現象の解釈学〉第18回を寄稿しました。
今回は「バートルビー、または目をさえぎるもの」と題して、前回に引き続きドゥルーズを読んでみましたが、いやあドゥルーズってわっからないですねえ。わかったつもりになっていた学生時代の自分がまぶしいくらいです(無邪気な笑顔)。
あいかわらず、投げやりな議論で恐縮ですが、現代哲学と幽霊の微妙な関係にご関心のある方はご笑覧いただけると幸いです。
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●連載〈心霊現象の解釈学〉第18回●
バートルビー、または目をさえぎるもの
http://homepage1.canvas.ne.jp/sogets-syobo/sinrei-18.html
広坂朋信
前回(第17回)、「ドゥルーズは幽霊を見たか」と題してドゥルーズによる
ベルクソン仮構作用説の解釈を見た。
ドゥルーズの『哲学とは何か』(河出文庫)におけるベルクソン解釈のベー
スとなっているのは、仮構作用は「知性による、死の不可避性の表象に対する、
自然の防御的反作用」(ベルクソン『道徳と宗教の二源泉』)だというアイデ
アである。知性は生の道具であるのに、その知性のもたらす「死は必然である」
という表象は、生を意気阻喪させ、ややもすると人をニヒリズムに陥らせる。
これに対して、生命は知性を欺くニセの知覚を生みだし、人をしてニヒリズム
の穴にはまらぬよう回避させる。これがベルクソンの言う仮構作用のプロトタ
イプである。
(Webに続く) http://homepage1.canvas.ne.jp/sogets-syobo/sinrei-18.html
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●連載:哥とクオリア/ペルソナと哥●
第55章 映画/モンタージュ/記憶(その1)
http://homepage1.canvas.ne.jp/sogets-syobo/uta-55.html
中原紀生
王朝和歌と映画との密接かつ隠在的な関係性について、──言葉を補うと、
時代も離れジャンルも異なるふたつの領域における美的体験、つまり「詠歌体
験」と「映画体験」とのあいだには、(それが本質にかかわるものか現象にす
ぎないか、あるいは内的構造がもたらす必然か外的状況に依る偶然か、等々の
詮議はさておき)、なにかしら見えない関係性が潜んでいるのではないか、と
いう私の直観が告げ知らせる仮説をめぐって──、この論考群では、これまで
からさまざまな箇所で(その多くは、いわば備忘録のようなかたちで)言及し
てきました。
(Webに続く)http://homepage1.canvas.ne.jp/sogets-syobo/uta-55.html
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●連載「新・玩物草紙」●
雲をつかむ話/都市観察という方法
http://homepage1.canvas.ne.jp/sogets-syobo/singanbutusousi-44.html
寺田 操
多和田葉子「雲をつかむ話」(『雲をつかむ話-ボルドーの義兄』講談社文芸
文庫/2019・4・10)は、「人は一生のうち何度くらい犯人と出遭うの
だろう」という衝撃的な書き出しではじまる。多和田葉子の小説は、ある種の
言語実験も兼ねているので、物語を多層的な視点から読むことを強いられ、想
像力が試されているようで読む前から緊張する。この文庫を枕辺で少しずつ読
んでいるのだが、ストーリーを追っていくことで日常のストレスを発散するミ
ステリーやサスペンスなどの愉しみからは遠い場所に連れだされるため、なか
なか前に進めない。かといって別の本を読むとせっかく連れ出された場所から、
最初のページに引き戻されるという気がして枕辺から遠ざけることはできない。
書き出しの続きは「犯罪人と言えば、罪という字が入ってしまうが、わたしの
言うのは、ある事件の犯人だと決まった人間のことで、本当に罪があるのかそ
れともないのかは最終的にはわたしにはわからないわけだからそれは保留とい
うことにしておく。」と、「犯人」と「犯罪者」とを区別することで、「犯」
という漢字にまつわるさまざまな意味や姿態を、小説世界に組み込んでいく。
意味は固定化されない、姿態は多層である、ということだろうか。
(Webに続く)
http://homepage1.canvas.ne.jp/sogets-syobo/singanbutusousi-44.html
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