憂国の恐怖映画

17日未明に開票速報が公開されたが、事前に予想された通りとはいえ、なんともガッカリ感が強くて、すぐには感想も言えなかった。
覚悟の上とはいえ、国産に絞った私の投票行動はまったくの死票となった。
http://d.hatena.ne.jp/t-hirosaka/20121117/1353130268
アメリカ資本に推された勢力が圧倒的な強さを見せる中で、グローバル化の波に呑み込まれてはならぬとの危機感をもっての選択だったが、圧倒的な攻勢に競り負けた。
惨敗である。
かつては投票行動に先立って一方の側の優勢が伝えられると、極端を避けてバランスをとろうという心理が働き、差が縮まるという説もあったが、最近はそう考える人はごくわずからしい。
悔しいがまずこの結果を受けとめよう。
http://d.hatena.ne.jp/washburn1975/20121216

1 303 悪魔のいけにえ トビー・フーパー マリリン・バーンズ、ガンナー・ハンセン
2 240 ゾンビ ジョージ・A・ロメロ デビッド・エンゲケン・フォリー
3 221.5 遊星からの物体X ジョン・カーペンター カート・ラッセルウィルフォード・ブリムリー
4 188.5 シャイニング スタンリー・キューブリック ジャック・ニコルソンシェリー・デュバル
5 179.5 エクソシスト ウィリアム・フリードキン リンダ・ブレアジェイソン・ミラー
6 125.5 リング 中田秀夫 松嶋菜々子真田広之
7 123.5 サスペリア ダリオ・アルジェント ジェシカ・ハーパーウド・キア
8 108.5 エイリアン リドリー・スコット シガニー・ウィーバーイアン・ホルム
9 100 死霊のはらわた サム・ライミ ブルース・キャンベル、エレン・サンドワイズ
10 96 CURE 黒沢清 役所広司萩原聖人

ベストテンのうち7作品がアメリカ映画である。第2位につけた「ゾンビ」はイタリアとの共同製作だそうだが、監督はアメリカ人だし、ドラマの舞台もアメリカだったと記憶している。
国産は『リング』と『CURE』だけ。
私がイチオシにした『東海道四谷怪談』は17位で当選圏外。それにしても『バタリアン』に抜かれるとは嘆かわしい。
89点で12位と健闘した『女優霊』はちょっと惜しかった。
集計の基準は次のようになっている。

採点基準は、1位を10点、2位を9点、3位を8点、以下同様に1点ずつ減っていき、9位を2点、10位を1点といたします。
「順不同」の場合は一律5.5点とし、応募者さまの方で点数の割り振りを指定している場合は、そちらに従いました。

私は『女優霊』を3位で推したのだが、もし1位にしていればあと2点増えて91点となるが、それでも11位の『オーメン』92点にも及ばない。
とはいえ、得点が89点だったということは、私以外の投票者が少なくとも9人はいるわけで、もしその人たちがこぞって10点を付けていたら、第9位の『死霊のはらわた』とならぶことは可能だったかもしれない。
他にも、「ホラー映画」ではなく「恐怖映画」とか「怪奇映画」という名称だったらもう少しは邦画に有利だったのではないかとか、「SF映画は除く」と断りがあれば3位と8位が脱落して『女優霊』が入選しただろうとか思わないでもない
また、監督賞も発表された。作品単位ではなく監督への支持率である。
http://d.hatena.ne.jp/washburn1975/20121217

トビー・フーパー 381
ジョージ・A・ロメロ 348
ジョン・カーペンター 277.5
黒沢清 246.5
中田秀夫 231.5
ダリオ・アルジェント 199.5
スタンリー・キューブリック 196.5
ウィリアム・フリードキン 187.5
サム・ライミ 175.5
10 デヴィッド・クローネンバーグ 148.5

黒沢清監督と中田秀夫監督が4位5位で入選しているが、いずれも作品の支持率では票が割れたとされている。もし、突出した作品があったら結果は違っていたかもしれない。
だが、こうした「たられば」をあれこれ考えてもしようがない。
負けは負けである。
邦画に強く推したい優れた作品がいくつもあり、それらの魅力が広く知られていれば、アメリカ映画にここまで遅れをとることもなかっただろうにというのが正しい総括の仕方だと思う。