「劇場版零」(安里麻里監督)

医師と妻から静養を命じられたので、自宅で映画鑑賞。

劇場版 零~ゼロ~ スペシャル・エディション [DVD]

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中村ゆり中越典子、美保純とお気に入りの女優さんが出ているので選んだ。
ストーリーは期待通り、噂に乗じた犯罪を暴くミステリ映画でもあれば、人間の行動の背後にある呪いに迫るオカルト映画でもあって、オカルト風味とミステリ風味がからまってよい感じだった。大塚英志原作だそうだから、さすが設定に無理がない。
ただ、ゲームが元になっているとかで、私はそのゲームを知らないものだから、最初のうち、ちょっと入りづらかった。けれども、幽霊の見せ方や、憑依の場面がよく描けているなと思ったら、この監督さんオカルトやホラー映画をいくつも手掛けている様子。今度、他の作品も拝見しよう。
お芝居の方は、中越典子の配役と演技にびっくり。広田レオナとかYOUあたりが得意とするキャラクターを上手に演じていた。この役には白いメリーさんも投影されているのね。たぶんこれは原案の大塚英志の趣味でしょう。僕も好きです。
主役は若いお嬢さん方で、まったく知らなかったけれども、中条あやみ森川葵という個性的な風貌の女優を起用したのは成功していると思う。他にカスミ役(山谷花純)が印象に残ったが、この登場人物の扱いが、なんだか物語のなかで消化しきれていないように思えた。
ともあれ、充分面白かった。見ているうちになぜだか「花とアリス」(岩井俊二監督)を思いだした。自分も五十も過ぎたのに、いまだに美少女がいっぱい出てくる映画が好きなんて、エロ親父ぶりが抜けないなあと少し反省したが、よく考えてみると、記憶のねつ造というモチーフで共通している。ついでに言うと、誰にも共感されないと思うが、私のなかでは中越典子蒼井優が、その演じた役柄も含めて亡き旧友を連想させるからでもある。