あれから十年
![アンチ・オイディプス(上)資本主義と分裂症 (河出文庫) アンチ・オイディプス(上)資本主義と分裂症 (河出文庫)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51V72BB8VPL._SL160_.jpg)
- 作者: ジル・ドゥルーズ/フェリックス・ガタリ,宇野邦一
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2006/10/05
- メディア: 文庫
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10年前に出た市倉訳の単行本は積んであるが、訳者が違うので新刊扱い、と自分に言い聞かせて購入。
単行本は重すぎて通勤電車で読むには不向きだった(では文庫本なら読むのか、と言われると腰砕け)。
原ファシズムの特徴11 死の崇拝
以下、『永遠のファシズム』より写経。
11 こうした見通しに立って、<一人ひとりが英雄になるべく教育される>ことになります。神話学において、「英雄」はつねに例外的存在ですが、原ファシズムのイデオロギーでは、英雄主義とは規律なのです。その英雄崇拝は「死の崇拝」と緊密にむすびついています。ファランヘ党の合言葉が「死万歳!」であったことは偶然ではありません。ふつうの人びとになら、死ぬのはいやだろうけれど尊厳をもって立ち向かいなさい、と言うものですし、信仰者に対しては、死は神の意志による幸福に到達するための悲痛な方法なのです、と言うものです。ところが原ファシズムの英雄は、死こそ英雄的人生に対する最高の恩賞であると告げられ、死にあこがれるのです。原ファシズムの英雄は死に急ぐものです。そのはやる気持ちが、実に頻繁に他人を死に追いやる結果になるのだということは、はっきり言っておくべきです。
エーコ、前掲書、p55-p56