民主党対案の愚劣さ

わーーーーーーーん ’”(←涙)

教育基本法政府案に対して民主党の対案とやらが出てきたが、予想通りのお馬鹿なものなので罵詈雑言を吐く気力も失せた。
kaikaiさんが、冷静な逐条批判をなさっている。
http://d.hatena.ne.jp/kaikai00/20060513/1147461712
実をいうと私は今の居住地に引っ越してきてからずっと民主党候補に投票してきた。今住んでいるところは同党の有力政治家の選挙区であり、政見に完全に同意できない場合でも与党の政策に賛成できない場合にはそれへの批判票として勝てそうな野党候補に入れることにしていたからである。それでも投票を欠かしたことはないから消極的な民主党支持者だったといってよいだろう。だが、もう今後同党候補に投票することはあるまい。
いまはmojimojiさんとともに号泣するのみ。

民主党担当者が言うところの民主党案の主な特徴について

泣いてばかりもいられないので民主党自画自賛を見る。
案文ではなく民主党の立法意図について考えてみる(というか笑う)。
以下の引用はhttp://www.dpj.or.jp/news/200605/20060512_092kyouiku.htmlより。
いまじっくり検討している時間がないので、id:kurahitoさん方式で随時いやみを書き足していくことにするが、結論だけ先に言えば、バカ。

「日本国教育基本法案(新法)要綱」(民主党教育基本法に関する検討会」案)の特徴等については、会見で鈴木事務局長が説明した。主な特徴は以下の通り。

この後、全10項にわたって民主党が自ら主な特徴とするものが挙げられている。
つまり、以下は同党にとって自慢できるところということか。そうすると、ここにあげられていない条項の案文は恥ずかしいので隠しておきたいところかもしれない。

(1)第1条「教育の目的」――現行教育基本法の目的が広範囲に渡っているのに対し、「日本国憲法の精神に基づく真の主権者としての教育」を重要視したうえで、人間の尊厳を重んじ、民主的で文化的な国家、社会及び家庭の形成者たるに必要な資質を備え、世界の平和と人類の福祉に貢献する心身ともに健やかな人材の育成に期すとした。

「主権者としての教育」という点についてはおおむね賛成する。ただし、「日本国憲法の精神」と現時点で言う以上は、現行憲法のことに他ならないがそうなのか。ここでは「真の主権者としての教育」に結び付けられている以上、現行憲法が謳っている範囲では民主主義と基本的人権についての考え方に即しているものでなければならない。
ところが、これはkaikaiさんがすでに指摘されていることだが、言うに事欠いて「人材の育成」とは何事か。「人材」とは人間を何かの道具に見立てる言葉である。「人間の尊厳」とは、何かの役に立つ道具だからという理由で尊厳といわれるのではないだろう。そんな薄っぺらなものではない。社会と企業は違うのだ。会社あっての社員、という言い方と、国家あっての国民、という言い方がよく似ているのが気になっていたが、民主党はそれを安直に重ね合わせている。底の浅い考え方である。

(2)第2条「学ぶ権利の保障」――法案の最大の特徴のひとつ。現行教育基本法にある「国民の」ではなく「何人も」としたことで、より強く学ぶ権利の保障を謳っている。

私は学習権の主体を「何人も」とした点については全く賛成する。ご英断といってもよい。
しかし、それならば前文にある「日本を愛する心を涵養し」の文言との不整合はどうする。
政党といっても、諸個人の集合であって、全ての点で意見が一致する必要などない。けれども、こうした重大な点で意見がすり合わせられないような集団は、民主的な議論ができない証拠である。党名を返上せよ。

(3)第3条「適切かつ最善な教育機会・環境の確保・整備」――「単なる平等」を求めて示された機会均等ではなく、それぞれの子どもに応じた状況に対して適切かつ最善な環境の確保・整備を目指すこととしている。

(4)第6条「幼児期の教育」――時代の要請に即してまさに新しく盛り込まれた内容で、「国及び地方公共団体は、幼児期の子どもに対する無償教育の漸進的な導入に努める」として、幼児期の教育に対する国及び地方公共団体の責任を明確に示した。

(5)第13条「特別な状況に応じた教育」――障がい者の学習権の保障に関する国際的な動向をさらに踏み込む形で規定。一時的な障がいも対象に含め、国及び地方公共団体が個別具体的な最善の支援及び援助を行うよう定めた。

この3点についてはkaikaiさんのご批判に全く賛同する。「それぞれの子どもに応じた状況」、案文で言う「発達段階」「発達状況」を誰がどう定めるのか。

(6)第14条「職業教育」――日本の青少年がかかえている問題の解決が不可欠だとの観点から、フリーター・ニート対策として、勤労の尊さを学び、職業に対する素養と能力を修得するための職業教育の機会を提議した。

このあたりから爆笑度が高まっていく。「フリーター・ニート対策として」ってどういうことだ。それは失業対策として考えるべきだろうが。それともそこを踏み越えて、オラオラ働けぃ、と鞭でも振るうのだろうか。

(7)第16条「生命・宗教に関する教育」――子どもが子どもを殺すといった事件が相次ぐなか、その対策として「生の意義と死の意味を考察し」とあえて明記したうえで、生命あるものを尊ぶ態度を養うことを重要視し、教育上尊重されなければならないと定めた。

「子どもが子どもを殺すといった事件が相次ぐ」がまずまちがい。典型的な居酒屋談義である。案文の「宗教的感性の涵養」については以前に書いたので繰り返さないが、それにしても「生の意義と死の意味を考察し」って、これ、学校で教えるつもりなの?教えられるものならやってごらん。もう「誰かこのバカに言ってやって」っていう感じ。

(8)第17条「情報文化社会に関する教育」――パソコン、コンピュータ、テレビゲーム等を通じてバーチャルな世界を体験することで、従来では想像もできなかった影響が子どもたちに暗い影を落としている状況をふまえ、仮想情報空間におけるコミュニケーションの可能性、限界および問題点をすべての児童生徒にきちっと教えていくことを明確に示した。

ハイハイ、そうですよね、僕が生まれたころはエレキ・ギターを持つと不良になるといわれたそうです。僕が子供のころは漫画が目の敵にされました。その後はビデオでしたね。で、今はパソコンなんだ。いつの時代も、若い世代が新しいメディアや表現のツールに手を出すと同じことが言われるもののようですね。こういう年のとり方はしたくないなあ。目指せ、激高老人!
ところで、鈴木議員もホームページを持っていましたよね。バーチャルな民意に基づいてバーチャルな政治をやっているのでしょうか。
kaikaiさんは「なぜ「国語力」なのか」と疑問を呈しておられるが、委員の中に誰か『国家の品川』のファンがいたのでは。
以下は、また時間のあるときに。

(9)第18条「教育行政」――民主的な運営が行われなければならないとの思いのもと、「教育行政は、民主的な運営を旨として行われなければならない」との一文をきっちり盛り込んだ。さらに、「地域の子どもは地域で育てる」との考え方で、コミュニティスクールのコンセプト等も加えた。

(10)第19条「教育振興に関する計画」――「わが国の教育費の対GDP比率は先進国中最低」との現状認識に立ち、教育の振興に関する基本的・具体的な計画を定めることを国に求めるとともに、教育費の確保・充実の目標を計画に盛り込み、計画と実績は国会を通じて国民に報告するよう要請すると定めている。