原ファシズムの特徴7 xenophobia

以下、『永遠のファシズム』より写経。

 7 いかなる社会的アイデンティティももたない人びとに対し、原ファシズムは、諸君にとって唯一の特権は、全員にとって最大の共通項、つまりわれわれが同じ国に生まれたという事実だ、と語りかけます。これが「ナショナリズム」の起源です。さらに、国家にアイデンティティを提供しうる比類なき者たちは、敵と目されることになります。こうして原ファシズムは、その心性の根源に<陰謀の妄想>(それも国際的な陰謀であることが望ましいわけですけれど)を抱え込んでいるのです。この妄想に、信奉者たちが取り憑かれないわけがありません。この陰謀を明るみに出すいちばん手っ取り早い方法は、<外国人ぎらい>の感情に訴えることです。ですが陰謀は内部からもめぐらされているはずです。そこで、内部にも外部にも同時に存在することの利点をもっているからという理由で、しばしばユダヤ人が最高の標的とされるのです。こうした陰謀の妄想を表明した最新の例として、アメリカでは、パット・ロバートソンの『新世界秩序』を挙げることができます。
エーコ、前掲書、p52-p53