原ファシズムの特徴9 王道主義的覇権主義

以下、『永遠のファシズム』より写経。

 9 原ファシズムにとって、生のための闘争は存在しないのです。あるのは「闘争のための生」です。すると「平和主義は敵とのなれ合いである」ということになります。「生が永久戦争である」のですから、平和主義は悪とされるわけです。こうした考え方がハルマゲドンの機構を生むのです。敵は根絶やしにすべきものであり、またそれが可能であるとすれば、最終戦争は避けられません。それを経てはじめて、運動は世界覇権を手に入れることになるのです。こうした<最終解決>のあとには、平和な時代が到来することが前提とされます。ですが、その黄金時代は、永久戦争の原理とは矛盾するものです。ファシズムの指導者は誰ひとりとして、この矛盾を解決できませんでした。
エーコ、前掲書、p54