「戦後の苦しい時期に」

「無差別殺人犯は「派遣」と「無職」 これは「格差社会のせい」なのか」という記事を読んで、プッと吹いたのでメモ。
http://news.nifty.com/cs/headline/detail/jcast-23981/1.htm
この記事の中で、

フジテレビ系「とくダネ!」では小倉智昭氏が「こんなの社会のせいじゃない。戦後の苦しい時期にみんなが人を殺したのか」と憤る。

とあるが、小倉氏は何も調べずに発言しているようだ。
「戦後の苦しい時期に」殺人事件は多発している。
少年事件も含めて(殺人・強盗などの)凶悪犯罪は、戦後一貫して減り続けてきた。もっとも多かったのは、敗戦後からの数年間である。
例えば、警察庁の統計によれば、1951年、少年による殺人事件だけに限っても、448件起きている。前年の1950年は369件、翌年の1952年は393件、1953年は383件、1954年は411件、平均すると、毎日一件以上、少年による殺人事件が起きていた。
これは手元にある資料が少年犯罪についてのものだけなのでそれに限っているが、成人による凶悪犯罪の件数が少年犯罪の件数に抜かれたという話は聞かないので、推して知るべし、というものだろう。
犯罪の原因を「社会のせい」にすることの是非は別として、「戦後の苦しい時期にみんなが人を殺したのか」と、あたかも当時は犯罪が少なかったかのように思うのは先入見というものだろう。