わらし様はご無事か?

たいへんなことになった。
読売新聞の記事より。
「「座敷わらし」老舗旅館炎上…宿泊客ら無事」http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20091004-OYT1T00716.htm?from=main4

 4日午後8時20分頃、岩手県二戸市金田一の旅館「緑風荘」=五日市和彦さん(72)経営=から出火、木造2階同旅館計約2600平方メートルを全焼した。
 二戸消防署などの発表によると、客の横浜市の男性公務員(28)が2階から逃げようとして飛び降り、足に軽傷を負ったが、ほかの客20人と従業員ら9人は近くの旅館に避難して無事だった。
 緑風荘には、東北地方に伝わる子供の姿をした精霊で、姿を見た人は幸せになると言われる「座敷わらし」が出るとして全国的に知られる「槐(えんじゅ)の間」がある。
 宿泊客の名古屋市中川区、会社員宇佐美俊浩さん(41)は「大浴場近くを通ったら、煙が見えた」といい、従業員に知らせて屋外に逃げたという。また、機械場を見に行った男性従業員は「煙がものすごい勢いで出ていた」と話していた。
 近くに住む無職女性(61)は、「建物の3倍ぐらいの高さまで火柱が上がり、ドン、ドンという爆発音とガラスが割れる音が何度も聞こえた」と青ざめていた。
 ホームページによると、緑風荘は全18室で、「槐の間」の予約は、2011年末までいっぱいだった。

(2009年10月4日23時02分 読売新聞)

「宿泊客21人がいたが、従業員とその家族計9人とともに避難し、全員が無事」って、わらし様は? わらし様はご無事か?
心配していたら妻が、「わらし様はもう引っ越されたんじゃない?」。なるほどと安心した。
それにしても、こんなことになるのなら一度行っておけばよかった。かえすがえすも悔やまれる。
引用した記事は、わらし様について「子供の姿をした精霊」としているところはなかなか。いつの頃からか(と言ってもそう古いことではなかろうが)子どもの霊(亡霊)だという勘違いが広まってしまったが、元は由緒不明の神であって、今や福の神として祀られているから妖怪でもない。しかも、後付の由緒や霊験談までできている。
ただ、「東北地方に伝わる」と限定したのはいかがなものか。子どもを「わらし」と言うのは東北の言葉だが、家に憑く「子供の姿をした精霊」の伝承は東北に限られたものでもなかったのではないか。
もう一つ、気になることがあった。
「座敷わらし」について、あれは座敷牢に幽閉されていた人を見誤って生まれた伝説だ(と聞いた)ということを言う人があって、その俗説がどこから出てきたのだかわからないままでいる。