八王子スーパー殺人事件

最近の政治にいろいろと不満もあるが、よかったなと思うこともある。その一つが、殺人事件に対する時効の廃止だ。
http://news.nifty.com/cs/headline/detail/jiji-24X801/1.htm

 東京都八王子市のスーパーでアルバイトの女子高校生ら3人が射殺された事件は30日で、発生から15年を迎える。改正刑事訴訟法の施行により、同事件の時効は撤廃。警視庁八王子署捜査本部は専従捜査員約30人の体制を継続する方針で、捜査関係者は「(時効撤廃で)猶予をもらったとは思わない。脇目も振らず捜査を尽くす」と誓う。

この事件、あわや時効成立かとハラハラさせられたが、法改正により捜査が継続することになった。慶賀の至りである。
新聞をひらけば殺人事件など珍しくもないから、どの事件が心に残るかは、人それぞれだろう。私の場合、この事件が心に残ったのは、被害者の一人がたまたま私の出身校の生徒だったということもあるが、それだけではない。
前にも書いたような気がするが、事件発生当時、私はブックオフ某店に末端管理職として勤務していた。そこに転職するまで職場に後輩はいたけれども、部下をあずかったのは初めてのことだったので私なりに張り切っていた。新米管理職のもとで働いてくれていたのは、主婦と学生のパート・アルバイトの方々だった。殺されたスーパーの店員さんたちの顔が、自分の勤務店舗のパート・アルバイトのみなさんとダブって見えた。
また、無力な状態にある人間を圧倒的な暴力で、処理するように殺した手口にもゾッとした。
なんとかして犯人逮捕にこぎつけてもらいたいものだ。
今でも母校では追悼の礼拝が行われているようだ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100724-00000076-jij-soci

 「ずっと忘れないよ」。東京都八王子市のスーパーで1995年7月、女子高校生ら3人が射殺された事件で、発生から15年を迎えるのを前に、犠牲者の矢吹恵さん=当時(17)=が通った私立桜美林高校(町田市)で24日、元同級生らが追悼礼拝を開催し、冥福と解決を祈った。

ただこの記事中で、慣用のレトリックだから仕方がないとは思うが、「犠牲者」という言葉を使っているのには気にかかる。「犠牲」とは何かのために捧げるものである。誰が彼女を捧げたのか? 犯人か? それとも他の誰かか? なんのために? 何を期待して? 何の謝礼として?
いずれでもないだろう。彼女は被害者なのである。ずっと忘れない方がいいのはこの点だろう。