土産に酒を買う夢

去年の夏、死んでいた友に呼ばれる。
浦霞が美味かった話をしたら、美味しい日本酒を飲みたいと言いだしたので酒を土産に買っていくことにする。
駅前のバスターミナルでどのバスに乗ろうか迷い、結局、歩いていくことにする。街はいつのまにか新宿区抜け弁天のあたりの、ギャラリー・ネコノマのあった界隈。表通りから入るとちょっと道がいりくんでいて、古い東京の名残がある町並み。
酒屋を見つけて日本酒を選ぶ。
店主の話を聞きながら、曇りガラスの瓶と湾曲した紫色の瓶を選び、友は大酒のみだから、もう一本買おうかどうしようかと迷う。そのうち、友は死んでいたことに気付き、それなら三本では多すぎると思って、初めに選んだ二本を持ってレジに行き女将に清算してもらう。
店を出ると水煙の上がるほどの雨、いくつか大きな建物が遠くに見えるほかは荒涼として何もない。
ぬかるんだ道の十字路に立って、さて、どちらに行こうかと思っているうちに目が覚めた。
増山麗奈氏の主宰していたネコノマには、震災の後、増山氏が関西に転居する直前に訪ねた。ちょうど、友の死を知らされた後だったので、なんだか会える人には会えるうちに会っておきたいと思って出かけた。母校の教授に就任した同窓の友の研究室にお邪魔したり、ネットで見つけたやはり学生時代の友とお茶を飲んだりしたのもその頃。