「ハンナ・アーレント」

もうしばらく前になってしまったが、遅まきながら映画「ハンナ・アーレント」を観てきた。
私の感想は二つ。
よかったところは、みんなが煙草をすっていたところ。
残念だったところは、ハンス・ヨーナス(映画の字幕ではハンス・ヨナス)の描かれ方。
あれじゃあヨーナスがかわいそう。
アイヒマンについては、十年くらい前に映画「スペシャリスト」を観たときも思ったことだけれども、悪の凡庸さって、そんなに珍しいものでもないだろう、と。
アーレントアイヒマンの悪の凡庸さを強調したのは、むしろ、法廷があの生真面目な官僚をモンスター化することで何かがごまかされていくことを浮かび上がらせるレトリックなんじゃないか。
イェルサレムのアイヒマン――悪の陳腐さについての報告』を読んだときもそんな感想を持った。