ピンチの夏

父が亡くなって一カ月。あとは納骨までにいろいろな手続きを終えればよいだけのはずだったが、なんと、老母が倒れた。
毎朝、定期的にする電話に出ないので心配になり、実家に向かったが、私の自宅から母の暮らす団地までは90分ほどかかる。いやな予感がしたので、たまたま訪問予定だったヘルパーさんにも連絡を入れて先に様子を見に行ってもらう。
夜中に自宅で転んで、運悪く家具の隙間に挟まって助けを呼べないまま夜を明かしたようだ。ヘルパーさんが救急車を呼んでくれて助け出された。私が到着して時は、ちょうど救急車に運び込まれているときだった。打撲とショックに加えて、感染症による高熱でそのまま実家近所の大学病院に入院。
入院直後はすっかり弱って「おとうさんのところにいくのかねえ」などとつぶやいていた母だが、現在はかなり回復してリハビリに取り組んでいる。
救急車が運び込んだ病院は急性期対応ということで、今、リハビリ継続のための転院先探しと、退院したときのための自宅の準備に追われている。
なにせ、父の遺品の整理すらまだ手をつけていなかった状況からなので、介護ベッドを入れるのも一苦労。とりあえず寝室にしていた部屋を片付けてベッドを入れ、物置状態になっていたトイレを徹底清掃した。母が退院するまでに、転倒した居間と台所も片づけなければならない。
本当はもう独居は無理なのだろうが、私ら夫婦も団地住まいの共働きで、母と同居して世話するためには仕事をあきらめなければならない。可能な介護サービスを総動員してなんとかするほか、私ども家族の生きる道はない。
母には申しわけないが、無理にでももう一度元気になってもらうしかない。
今日もこれから病院である。