「ヴィレッジ」

アメリカ映画「ヴィレッジ【字幕版】 [VHS]」をビデオで視聴。
予想以上の出来。
予告編から『ブレア・ウィッチ』のパロディめいたオカルト物という先入観を持ってしまっていたが、意外なことに、超自然的要素はほとんどなく、「牧歌的な農村」を背景にした現代の寓話といった趣。
恐がりの妻が買い物に出かけているうちに、こっそり見たのだが、これならいっしょに見てもよかった。一種の謎解き物、サスペンスではあるがホラーではない。
後半の山場にさしかかったあたりで、舞台となった村についての謎の大枠は見えたが、ラストにどんでん返しがあるので粗筋は書かない。あの程度では「どんでんは返さんでしょう」と言う向きもあろうが、なかなかアイロニカルではある。
見終わったあと、山口昌男トリックスター論(『歴史・祝祭・神話 (中公文庫 M 60-2)』など)を思い出したり、最近読んだ佐伯啓思自由とは何か (講談社現代新書)』の「犠牲の共同体」のカラクリを思ったりした。
こういうものを大衆娯楽として流通させてしまえるアメリカ文化の底力は凄いものだと感嘆する。