本書冒頭には編者の水島による印象的なエピソードが紹介されている。
- 作者: 水島朝穂
- 出版社/メーカー: 法律文化社
- 発売日: 2005/05/03
- メディア: 単行本
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (6件) を見る
この立憲主義の立場から「家族のあり方などを憲法に書き込み、国家が市民に説教するような主張」や憲法改正手続きの容易化を厳しく批判し、自衛隊イラク派遣を違憲と断じたのは、タカ派改憲論者の小林だった。立憲主義は政治的立場を問わずまともな法学者なら当然ふまえるべき法学の常識であることが知れる。
この立憲主義に立つ本書は、憲法制定過程から国際社会の現実にいたる一三の視点から改憲論を診断する。なかでも政党や研究者による改憲論よりも、私たちの耳目に触れやすいメディアの改憲論(読売試案)、「文化人」の改憲論(石原、櫻井、英、西部など)、経済界の改憲論(経済同友会)を診る章が面白い。