四弘誓願

仏教諸宗派で唱える「四弘誓願」というものがある。
宗派によって少し違いはあるが、例えば以下のようなもの。

衆生無辺誓願
煩悩無数誓願
法門無尽誓願
仏道無上誓願

この文言の出典が気になって困っていた。
法華経地涌出品 第十五」に登場する上行菩薩無辺行菩薩浄行菩薩安立行菩薩に関係すると、いくつかのサイトにあったが、実際に従地涌出品を読んでみてもそういうことは書いていない。
ウロウロしていたら、どうやら天台大師の『摩訶止観』にあるらしい。帰宅してからゆっくり読むことにする。

四弘誓願の出所

昨夜、帰宅してから『摩訶止観』を読んでみたが、四弘誓願についてはすでに知られていることを前提とした書き方だった。
図書館でいくつか本を読んでみたところ、増谷文雄『仏教講義』に次のようにあった。

その原文は、湛然の『止観大意』にいずるものと知られるが、さらにその原型を尋ねてみると、『心地観経』の巻七に、次のような一節を見ることができる。

一切の菩薩は、また四つの願を有し、有情を成就し、三宝を住持して、大海劫を経るもついに退転せず。いかんが四つとなす。一つには誓って衆生を度す。二つには誓って一切の煩悩を断ず。三つには誓って一切の法門を学す。四つには誓って一切の仏果を証す。(前掲書、p156-157)

湛然も天台の高僧なので、天台大師『摩訶止観』と、湛然『止観大意』が取り違えられたりもするのだろう。