多重虚偽

マッカーシーの論法の特徴。
以下、名著より抜き書き。

マッカーシー国務省への攻撃を始めて間もない頃、私は『ニューヨーカー』誌の「ワシントン便り」の中でマッカーシーを取り上げた際、その最も注目すべき新手法の一つを「多重虚偽」と呼び、多くの点でヒトラーの大うそに比すべき技術だと書いた。私は次のように書いた。「「多重虚偽」は特に大きな虚偽である必要はなく、一連の相互に余り関係のない虚偽、あるいは多くの側面をもつ一個の虚偽であったりする。いずれの場合にも、全体が非常に多くの部分で構成されているために、真実を明らかにしたいと思う人は虚偽の全要素を同時に頭の中に入れておくことが全く不可能ということになってしまう。真実を明らかにしようとして、人はその中の二、三の言明を取り出して、それがうそだということを証明するかもしれないが、こういうやり方は、取り出された声明だけがうそであって、残りは本当なのだという印象を残すだろう。「多重虚偽」の更に大きな利点は、うそと証明された声明をその後も平然と何べんでもくり返しうるということである。というのは、どの声明が否定され、どれが否定されていないかを誰も覚えていないからである。」
(『マッカーシズム (岩波文庫)』より、p145-p146)

どこかで聞いたような…。
こちらも参考に。http://d.hatena.ne.jp/D_Amon/20061019/p2