何日か前に買って、通勤電車のなかでポツポツ読んでいる。
ネオリベラリズムの精神分析―なぜ伝統や文化が求められるのか (光文社新書)
- 作者: 樫村愛子
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2007/08
- メディア: 新書
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情報量が圧倒的に多い。『構造と力』を思い出して、よくできているなあ、と感心することしきり。
ラカンがわからないと読めないのでは?と尻込みしていたが、いざ読んでみると、具体的な事例を間に挟みながらなので、ラカンが出てくるところだけ飛ばせば、なんとか読めそうだ。
なかでも、若い方々が時折文章にはさむ「再帰的」とか「再帰化」という合いの手が何のことかわからなかったが、この本のおかげで見当がついたのはうれしい。
もちろん、こちらは呆け中年である。充分理解できたなどとは言わないが、少なくとも、Uターン就職した若者が地域間格差拡大のあおりで故郷の勤め先をリストラされて、かつて学生生活を過ごした都会にフリーターとして再び帰ってくる、という意味ではないことはわかった。
その他、ぼんやり感じていたことに明快な文体と難しい用語で説明を与えてくれるので、たいへん勉強になる。
主張にも賛同する点が多い。
今夏は新書で面白いものが少ないけれども、これはお奨め。