今年、出版された本に限って選んだ。
ただし、私は年に五〇冊ほどしか新刊書を読まないので、他人様にお薦めするという意味で挙げるのではなく、あくまでも自分の覚え書きとして、である。
以下、順不同。
- われらはみな、アイヒマンの息子
- 作者: ギュンターアンダース,岩淵達治
- 出版社/メーカー: 晶文社
- 発売日: 2007/02/25
- メディア: 単行本
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http://d.hatena.ne.jp/t-hirosaka/20070309/1173413581
- 作者: 福岡伸一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/05/18
- メディア: 新書
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とはいえ単なる逸話集ではない。科学史のエピソードとともに、観察とは、実験とは、仮説とは、といった自然科学の基本的な考え方が読者に伝わるようになっており、分子生物学というジャンルを越えた科学論入門としても読める。後半では一転して分子生物学の最前線での著者自身の研究活動が語られる。そして「自己複製するシステム」という生命観の限界が明らかにされるのだが、それを論述する文章が美しい。
- 怪獣記
- 作者: 高野秀行
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/07/18
- メディア: 単行本
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ネオリベラリズムの精神分析―なぜ伝統や文化が求められるのか (光文社新書)
- 作者: 樫村愛子
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2007/08
- メディア: 新書
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- モダンという時代
モダンという時代―宗教と経済 (〈思想・多島海〉シリーズ 8)
- 作者: 竹田純郎
- 出版社/メーカー: 法政大学出版局
- 発売日: 2007/01
- メディア: 単行本
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- 先生とわたし
- 作者: 四方田犬彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/06
- メディア: 単行本
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- 〈個〉からはじめる生命論
- 作者: 加藤秀一
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2007/09/27
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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妬ましいくらいに絶賛されているが、
とてもいい本だったけど、昔、ハルを孕んだときのように、将来、障害があるかもしれない子を産むことを、周囲の親しい、大好きな人たちに反対されたとき、どうやって説明したらいいか、自分の決意をどうやって肯定したらいいかについては、やっぱり、解答は得られなかった。
と、釘を刺しているところも、素敵。
- 前巷説百物語 (怪BOOKS)
- 作者: 京極夏彦
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2007/04
- メディア: 単行本
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- たたかう!ジャーナリスト宣言―ボクの観た本当の戦争
- 作者: 志葉玲
- 出版社/メーカー: 社会批評社
- 発売日: 2007/06
- メディア: 単行本
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銃弾にあたれば人間は簡単に死んでしまう、爆弾が落ちれば建物ごと粉々に吹き飛ばされ名前のない肉片となる、捕虜にされれば人権など無視される、著者はそのことをよく知っている。
戦争とは、恐ろしいものだ。まるで、ショーか何かのように、テレビやパソコンの画面で観るのではなく、実際に『空爆される側』にいれば、そんな当たり前のことが嫌というほどよくわかる。
しかし、われわれの大多数はそのことを知らない。その落差が著者、ニートだの氷河期だのとさんざんな言われようをしている世代に属するやさしげな青年を駆り立てるのではないか。そう思った。
威勢のいいタイトルと衝撃的な内容だが、それを語る言葉は繊細でひたむき。好感を持った。
- パール判事 東京裁判批判と絶対平和主義
- 作者: 中島岳志
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2007/07/01
- メディア: 単行本
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しかしパールは非暴力・不服従主義をかかげたガンディーに心酔する絶対平和主義者でもあった。その彼が戦争犯罪を無罪放免したり、あまつさえ戦争を肯定したりするとはとうてい思えない。日本の戦争は無罪であるとした親日家、というパール像は、はたして事実に即しているのか。
著者は、パールの生い立ちをたどってその人物像を描きなおし、日本免罪論の理由に使われる「パル判決書」に何が書かれているかを明らかにしながら、パールの東京裁判批判の真意は何か、「判決書」の意義はどこにあるのかを突きとめていく。
本書を読んではじめて知ったことも多く、たいへん勉強になった。