金策

原油高騰、それに続く物価高、さらには金融不況のあおりで、業界の末端で細々と営んでいる私の生業も苦しい遣り繰りを強いられている。
かくなる上はtoledさんの懸賞金をあてにしようか、と、ふと血迷う。
http://d.hatena.ne.jp/toled/20081128/p1
この不景気に10万はてなポイントとは豪勢だ。
デリダはほとんど読んでいないが『声と現象―フッサール現象学における記号の問題への序論』だけは通読したことがあった。同書には歴史修正主義について述べたとおぼしき箇所はなかった。これは断言できる。
あえて言えば、同書の末尾にある、メルロ=ポンティに当てつけたらしい、次のような文を同書の文脈から抜き出して読めば、ある種の不可知論に結び付けることはできるかもしれない。

そして、現象学−−それはつねに知覚の現象学である−−がわれわれに信じさせようと試みたところに反して、また、われわれの欲求が信じるようにそそのかされないではいられないところのものに反して、事象そのものは常に逸せられる。(p198)

「げんしんょうがく」と打つと「減少額」と変換されてしまう。不景気が身にしみる。
同書の文脈から抜き出して読めば、というのは、大雑把にいえば『声と現象』で主張されている現前の形而上学批判とは「書字」や「痕跡」の抑圧と排除への抗議であって、結局それは歴史の重視を含意するはずだからである。
とりあえず1冊。賞金獲得まであと何冊読めばいいのか。たとえ全部読めたとしても、(悪しき)歴史修正主義を肯定する文章が見つからなければ徒労に終わる。ため息が出る。
ところで、先日ご案内した読書会、今も参加者募集中です。
http://d.hatena.ne.jp/t-hirosaka/20081123/1227412787