筒井哲也「有害都市」

ヤングジャンプ」誌の今週号に掲載されていた読み切り作品。
新人漫画家がホラーストーリーの企画を持ち込んで連載が決まるが、その後に現実に起きた犯罪事件を連想させる(かもしれない)ということが問題視されて描き直しを余儀なくされる。世間体を気にする編集部によって意に染まぬかたちで執筆を強いられたあげく、途中で連載打ち切りの憂き目に。
業界内輪ネタでもあるが、作家や編集者の苦い経験の沈殿から生まれた作品のようにも思われて興味深い。いや実は他人事ではなく、無名ライターの私の身の上にも少し似たようなことが起きて、ついこのあいだまで目の回るような思いをさせられていたのだった。
ともあれ、漫画や雑誌の作り手・送り手の側の悩ましい問題を上手く織り込んだ意欲作と感じた。

追記

本編をネットで読める。↓
http://tonarinoyj.jp/manga/yugaitoshi/
無料とは太っ腹だが、本誌にも掲載してほしい。