『天使の牙から』読了。

このあいだから読み始めた小説、ジョナサン・キャロル天使の牙から (創元推理文庫)』(創元推理文庫)を今朝の通勤電車で読了。
第1作『死者の書 (創元推理文庫)』が邦訳されて以来のファン。好きな作家は?と聞かれたら、まずこの人を挙げる。
以前は、最後のどんでん返しまで一気に読み切ってしまわないと不安になったが、今回はキャロルがあの手この手で読者に揺さぶりをかけてくるのを、一場面毎に楽しみながら、ちょうど一週間かけて読んだ。
寡作であるのもいい。実はキャロルの作品はどれも死との対決を描いたもので、マンネリといえばマンネリ。
何作も立て続けに読まされるとゲップが出るかも知れない。
重いテーマを扱いながら、巧みなストーリーテリングと詩情ある表現で飽きさせずに読ませるのがこの人の手腕というところか。
キングだったか誰だったか忘れたけれど、サリンジャーがホラーを書いたらこうなる、という評価はピッタリな気がする。実際、短編にはサリンジャーを彷彿とさせる筆致のものも何編かあった。