小説

学生時代に読んでおくべきだった―夏目漱石『こころ』

漱石の『こころ』は、学生時代に何度か挑戦しては読み切れずに放りだしていた。最初に読んだのは高三のときだったと思う。登場人物がくよくよ悩むばかりで何が面白いのだか、さっぱりわからなかった。大学生になって桶谷秀昭先生の授業に出たら、夏休みのレ…

辻原登『円朝芝居噺 夫婦幽霊』

風邪で寝込んでいた日曜日に読んだ本。円朝芝居噺 夫婦幽霊 (講談社文庫)作者: 辻原登出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/12/17メディア: Kindle版この商品を含むブログを見るホラーというより古本ミステリ。自分の趣味のど真ん中で、とても面白かった。 …

石川達三『人間の壁』

少し前に『人間の壁』を読んだ。石川達三の小説である。 今、手元に本がないのでうろ覚えで書く。以下、ストレス解消のための戯言なので、間違いがあっても気にしないように。

カラマーゾフの妹・続

賛否のかまびすしい高野史緒『カラマーゾフの妹』をあえて未完結作品とみなして、その続編をホラー仕立てで書く、というわけではない。読後の第一印象でパパッと書きつけたものに星をいただいたので、あわてて書き足すのである。 某所でいろいろな人のレビュ…

『ゴースト・ハント』

今度、上記の“累ノ怪”でご一緒させていただく東雅夫氏が薦めていたので、H・R・ウェイクフィールドの『ゴースト・ハント』を読んでみた。ゴースト・ハント (創元推理文庫)作者: H・R・ウェイクフィールド,鈴木克昌ほか出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 20…

浅田次郎『降霊会の夜』

六十代の男性がふとしたことで知り合った女性・梓に降霊会に誘われる。 「会いたい人はいませんか。生きていても、亡くなっていてもかまいません。ジョーンズ夫人が必ず会わせてくれます」。 降霊会の夜作者: 浅田次郎出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: …

日本ラブストーリー大賞攻略法Ver.2

宝島社主催日本ラブストーリー大賞の最終選考結果が発表されました。 http://japanlovestory.jp/info/win/ 今年は、沢木まひろ『ワリナキナカ』。 登場人物たちが一人残らずしっかり描かれていて、読みごたえのある素敵な物語でした。この作品の焦点は、ヒロ…

あたりの箱・はずれの箱

少し前、日本ラブストーリー大賞の下読みをやった経験から、以下のような記事を書きました。 http://d.hatena.ne.jp/t-hirosaka/20101219/1292690224 「日本ラブストーリー大賞攻略法」と大げさに題してありますが、実態は、一次選考で読ませていただく作品…

日本ラブストーリー大賞攻略法

日本ラブストーリー大賞(宝島社主宰)の結果が発表されました。 http://japanlovestory.jp/info/win/ おおっ、中居真麻さんの『星屑ビーナス!』かあ、中居さん、とうとうやったね、おめでとうございます。 講評も絶賛じゃないですか。ああ、よかった。 あ…

『嘔吐』読み始めました

明日はレノン忌だが、たしかサルトルも同じ年に亡くなったんじゃなかったっけ。 それで、というわけではないが、サルトル『嘔吐』新訳をぼちぼち読んでいる。嘔吐 新訳作者: J‐P・サルトル,鈴木道彦出版社/メーカー: 人文書院発売日: 2010/07/20メディア: 単…

『ドストエフスキーとカント』

いったい、何度カントに立ちかえったらよいのだろう。またもや不勉強のツケを払わなければならないらしい。 思想家は哲学の径をどこから出発してどこへ向かおうとも、カントと呼ばれる橋を通らなければならない。(ゴロソフケル、p60) ドストエフスキー『悪…

長い蛇足、または羊頭狗肉

某ベストセラー小説の続編を読んだ。 長い蛇足だと感じた。 もちろん、文章やストーリーテイリングにはさらに磨きがかかっていて、たいしたものだとは思うが、作品としてこれでよかったのか、はなはだ疑問。 本編がやや唐突に終わったので、続編が待望されて…

ドストエフスキー『悪霊』

岩波文庫の古い訳に悪戦苦闘していたドストエフスキー『悪霊(下) (新潮文庫)』、後半は新潮文庫に切り替えたらあれよあれよという間に読了。訳文のせいだけではなく、後半では事件が急展開するためでもあるのだが、それにしても読みやすかった。 批評でも…

Tバック戦争

アリストテレスを中断して何を読んでいたかというと、実は『Tバック戦争 (岩波少年文庫)』という本を読んでいました。 妻の蔵書で、岩波書店の少年少女向けシリーズの一冊。 けっこう面白かった。

芥川賞

時が滲む朝作者: 楊逸出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2008/07メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 34回この商品を含むブログ (81件) を見る最近、芥川賞受賞小説なんて読んでないな、と思い立って、書店で受賞作掲載誌を買おうとしたら、もう単行本にな…

『天使の牙から』読了。

このあいだから読み始めた小説、ジョナサン・キャロル『天使の牙から (創元推理文庫)』(創元推理文庫)を今朝の通勤電車で読了。 第1作『死者の書 (創元推理文庫)』が邦訳されて以来のファン。好きな作家は?と聞かれたら、まずこの人を挙げる。 以前は、…

京極夏彦『前巷説百物語』読了。 この作家はすごいなあ。とくにこのシリーズでは期待はずれだったことがない。 感想をひとくさり書き付けたいところだが、一昨日から妻と冷戦状態で、プレッシャーでクタクタ。今はなにも言う気になれない。

先日、『フランケンシュタインの怪物』の著者、シェリー夫人が、メアリ・ウルストンクラフトの娘さんだったということに、今さらのように気づいて驚いた。 結婚前のフルネームは、Mary Wollstonecraft Godwin、母親の姓をミドルネームにしている。 帰宅して…

村上春樹『東京奇譚集』

本書には5編の短編小説が収められている。偶然の一致、幽霊、神隠し、動く石、妖怪、とフォークロアによく見られる題材を都会的な背景に流し込んで洒落た、そして謎めいた小品に仕立て上げている。さすがにどれも上出来で、長編に時折見られる冗長さがなく…

『野ブタ。をプロデュース』

野ブタ。をプロデュース作者: 白岩玄出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2004/11/20メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 122回この商品を含むブログ (392件) を見るテレビドラマが放映中の話題作。 高校二年生の修二は、ふだん「クラスの人気者」の役を…