学生時代、きちんと勉強しなかったことがコンプレックスになっていて、周期的に哲学史のおさらいをしなければ、という強迫観念に取り憑かれる。
- 作者: 和辻哲郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2007/06/15
- メディア: 文庫
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ここで和辻はアリストテレスの「人間の学の前半が個人主義的倫理学として独立させられるべきではない」ことを力説し、次のような注を付けている(p61)。
シジウィックの言い現わしを借りれば、Ethicsはprivate Ethicsと言った方がはっきりするような個人の善あるいは幸福の学である。すなわち個人としての個人の合理的活動によって得られる限りの、人の善あるいは幸福の研究である。
和辻はここでいう「個人の善あるいは幸福の学」に対抗するものとして、「人間の学としての倫理学」を構想している。シジウィックは、和辻にとっての仮想論敵の一人であろう。
ちなみに、シジウィックという人は、伝え聞くところによるとなかなか面白い人らしいのだが、どういうわけだか著作の邦訳がない。私のような英語音痴には困ったことである。