- 作者: 別役実
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2005/08
- メディア: 単行本
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別役は「葬式ごっこ」事件において、誰も明確な悪意を持たず、悪ふざけが高じていくうちに一人の人を死に追いやる過程をベケットの不条理劇と重ね合わせて読み解いていく。
冗談だという前提にたってかなり残酷なことをしたりなんかしている。そしてその場合冗談であることを理解しない人間は致命的なんです。仲間はずれにされてしまうというぐらいですから…。一度こういう状況ができてしまうと、そこに暗黙のルールができて、そのルールに関わることによってしか、自己主張ができなくなるんです。
別役はこれを「個」が集合して関係を作っているのではなくて、関係の中に「孤」がある場合の、致命的な病理」であって近代社会=近代演劇の前提では捉えきれないと指摘する。
親本は1987年に出たものだが、現在でも一読に値すると感じた。