『大唐西域記』

気分転換に玄奘三蔵の『大唐西域記』をパラパラめくっていたら、面白いものを見つけた。

別に三伽藍があり、乳酪を口にせず、提婆達多の遺訓を遵奉している。(『大唐西域記』、平凡社

これだけなのだが、提婆達多といえば、釈迦在世中の弟子のひとりで、初期仏教教団を乗っ取ろうとたくらみ、さまざまな悪事をはたらいたとされている人物だ。
日本にも早くから伝えられ『今昔物語』には「提婆達多、仏と諍ひ奉れる語」(だいばだった、ほとけとあらそいたてまつれること)という物語が収録されている。
仏伝などでは、提婆達多は自分の爪に毒を塗って釈迦を毒殺しようと試み、誤ってその毒で死んだとされていたように記憶していたが、注によれば釈迦の仏教教団から分派して別に一派を立てた指導者で、その教えは玄奘の時代まで続いていたことになる。