ニュース雑感

昨夜、テレビをつけたらどの局も首相の退陣問題ばかりだった。
私もあまり身体の丈夫な方ではないので、腹痛を我慢しながら人前に出ることの多い激務をこなさなければならなかった不運には同情する。この点を揶揄するような話はあまり面白くない。だが同時に、がんばっていたのに可哀想なんていうのも論外である。
政治家としての評価はそれとは別問題だ。
マスコミの取り上げ方が、辞めた理由がなんだったのか(お腹が痛かったからなのか、冷たくされたからなのか、それともその他か)に集中しているのもどうもつまらない。
確かに出処進退はその人となりを評価する上で大事なポイントとなるが、潔いとか未練がましいとか間が悪いとか、そうした審美的批評ばかりが幅を利かせるなら、あいかわらず劇場政治に踊っていることになる(政治に演劇性がないとはいわないがそれだけでいいのかという話だ)。
この場合、なぜ彼が参院選の大敗を受けても辞めなかったのかの方が問題なのだ。もし、一部で伝えられているように、参院選で示された民意よりもブッシュ政権への義理立ての方を気にしていたのであれば、民主主義社会としてはこれは大問題だろう。
それから、既にannntonioさんやkechackさんがパシッと言って下さっているので、屋上屋を重ねるのは控えるが、昨年に強行採決された教育基本法改正にあたって、彼がどんなにひいき目に見ても事実誤認にもとづいてその旗を振ったことは間違いない。
http://d.hatena.ne.jp/annntonio/20070912/1189652468
http://d.hatena.ne.jp/kechack/20070913/p1
この件については、首相がまだ首相候補だった時代から懸念を持っていたが、その後、心配していたとおりになってしまった。
http://d.hatena.ne.jp/t-hirosaka/20060314
http://d.hatena.ne.jp/t-hirosaka/20060315
また、政権発足後の首相の側近議員たちの言動も目を覆うばかりのものだった。
http://d.hatena.ne.jp/t-hirosaka/20060914#1158229012
これらの発言は「産む機械」や「しょうがない」と同様に問題にされるべき失言・放言であろうに、そういう認識が、この社会で政治を論じる人々の大多数にない、ということに寒気をおぼえる。
もう一つ、当然のなりゆきとはいえ、次は誰がなるのかという話題にマスコミの関心は移っているようだが、誰がふさわしいのかという視点からの議論が弱いように感じた。また原則として、自民党総裁としてふさわしい人と、内閣総理大臣としてふさわしい人とは違うだろうに、そこもあいまいなようである。
誰が自民党総裁にふさわしいかは自民党員が決めればよいことで、ハタからとやかく言うことはない。だが、誰が首相にふさわしいかは、その政治家がどのような政策を掲げているのかを抜きにしては論じられないはずなのに、私が目にしたニュースでは、誰がなりそうか、という話ばかりだった。
思わず長くなったし、疲れたのでこの辺で。〆の言葉は、やはり「なんだかなあ」だろうなあ。