彼女が水着にきがえたら

先週「バブルへGO!!タイムマシンはドラム式」を視たときちょっと気になることがあって、80年代当時に制作された「彼女が水着にきがえたら」(1989年)を視る。

彼女が水着にきがえたら [DVD]

彼女が水着にきがえたら [DVD]

田中美佐子が可愛い。彼女はこのころ脂がのっていたのに、よい役に恵まれずもったいないことだった。
原田知世演じるヒロインの名は「田中真理子」、「バブルへGO!!」で薬師丸ひろ子が演じた役名(広末涼子の母親役)と同じ。あれは「彼女が水着に…」へのオマージュでもあったわけだ。
舞台は湘南の海辺。谷啓伊武雅刀がそれぞれ若いヨットマンたちを率いて海賊ごっこと宝探しに興じる、という毒にも薬にもならないお話。スカスカの内容なのに、スローテンポ。後半のモーターボートでのチェイスのシーンなどダラダラしていて、サザンオールスターズによる挿入歌がなければ退屈きわまりない。
そんなことはどうでもよいのだが、気になっていたのは女性のファッション。『バブルへGO!!』ではワンレンボディコンばかり出てきて違和感があったが、リアルタイムで作られたこの映画では、ボーイッシュなショートカットやちょっとダブっとしたパンツルックも登場。そうそう、いたいたこういうの、と、ホッとする。
この作品中では、織田裕二演じる若いサラリーマンが有給休暇をフルに使ってヨットクラブの仲間と宝探しに夢中になっている。バブル時代ならではの暢気さである。とはいえ、現実の世相がこれほどに脳天気だったかというと、そんなことはなかった。中井貴一手塚理美らの出演したテレビドラマ「ふぞろいのリンゴたち」の方が、まだしも実感に近い。
いずれにせよ作品であるので、そこから現実を推し量るのは無理というもの。「バブルへGO!!」は現在から観た80年代の夢物語、「彼女が水着に…」は当時の視点から描いた当時の夢、にすぎない。
そもそもヨットクラブで若者が大騒ぎという設定自体、もっと以前の「若大将」シリーズからの引用なのだとも言える。
「バブルへGO!!」では、阿部寛演ずる80年代の大蔵官僚に17年後の日本の状態を問われて、広末涼子が「夢がない感じ」と答えていたのが印象に残っているが、その夢はすでに夢のまた夢だったわけだ。

追記

ちょっと書き忘れたが、田中美佐子は妻と同い年である。