はせがわ閉店

仕事場の近く、早稲田鶴巻町に「はせがわ」というとんかつ屋があった。あった、というのは本日をもって閉店したからである。
地元の肉屋が直営するこの店のカツカレーはボリュウム満点で、腹が重くなるほどの食べごたえ。痛風になって以来、足が遠のいていたが、景気がよかったころは週に一度はここでスタミナを補給したし、昼時に来社されたお客さんを連れて行ったりもしたものだ。
その店も今日で閉店と聞いて食べおさめに行った。
開店前から行列ができていたので、昼時をはずそうと1時過ぎに出かけたのだが、なおも30人近い人々が列を作っていた。

ふだんなら時間がもったいないと弁当屋に行くところだが、今日で最後と聞いてはこの時を逃すわけにはいかない。妻と二人で行列の最後尾につく。
時折、おかみさんが出てきては「カツカレー終わりました」(わあ残念)、「ロースも残りわずかです」(ひぇーっ)、「ヒレはまだあります」、「ロース追加の肉入りました」(ほっ)などと声をかけてくれるのに一喜一憂しながら、並んで待つことおよそ1時間。
ひさしぶり、にして、これで最後のロースかつ定食を腹いっぱい食べる。
よく火が通るなと思うほど分厚いロースかつは、噛めばやわらかく、脂身は口の中で溶けていく。実際、洋辛子を脂身の上にちょっとのせて口に入れると大トロに負けない旨味が舌の上にひろがる。
妻が頼んだS定食(ヒレカツ2・海老フライ・鶏の唐揚げ2)の鶏唐を一つわけてもらったが、これも大ぶりなのに肉は柔らかく味はしっかりしていて美味しい。
嗚呼、こんなに美味しいお店がなくなってしまうなんて、と、最近滅多に寄りつかなくなっていたのを棚に上げて名残を惜しんだ。
ごちそうさまでした。