胡散臭い

時事通信の記事などによれば「石川議員らに有罪=「裏献金」受領を認定―元秘書3人の共謀成立・陸山会事件判決」なのだそうだ。
政局には関心がないが、以前に何度か言及したので、感想を簡単に書き留める。
サヨクな人には糾弾されるかもしれないが、私の見解は変わらない。検察不信に裁判所不信が重なっただけである。もっとも、裁判所が常に正しい判断をするなんて、初めから思っていなかったけれど。
この事件の出発点は村木局長事件と同じ構図で、政権交代後は民主党内の抗争にも利用されてこの判決に至ったと思える。
しかし私は小沢一郎議員の政見の支持者ではないし、民主党の支持者でもない。ただ、胡散臭い臭いがすることに我慢ならないだけである。
管政権への常軌を逸した批判報道についても同様である。政権批判はジャーナリズムの仕事とはいえ、この数ヶ月の報道は正当な批判であったのか。いわゆる「炎上」にそっくりな様相を呈していたではないか。
現に、管直人前首相後継の現・野田内閣は、政策だけ見れば増税路線も含めて管政権をほぼ継承しているのに、先月までの気でも狂ったかと思うような新聞・週刊誌のあおり記事はパタリと止まった。これまた胡散臭いことこのうえもない。
そもそも菅降ろしの大義名分は、菅氏が首相では震災被災地の復興が進まないということのはずだったが、さて菅氏が辞めた今、被災地の復興が劇的に進んだという話を聞かない。それなのに野田内閣の怠慢を声高になじる声が少ないのはどうしたわけか。野田首相の政策にさしたる新味はない。違いがあるとすれば、前任者の脱原発路線を早々とひっこめたことくらいだ。
政治音痴の戯言と聞き流していただいて結構だが、小沢失脚を狙ったのは政権交代を阻止したい勢力、管失脚を仕掛けたのは脱原発路線を嫌う勢力が、それぞれの主力だろうというのは子どもにもわかること。
もう一つ、何らかの理由で「第三の道」路線を避けたい勢力の思惑もからんでいるように思う。
小沢氏と管氏は出自・経歴も違うし、今や犬猿の仲だそうだが、政策は似通っている。管政権のキャッチフレーズだった「最少不幸社会」は、小沢氏が党代表時代に掲げた「生活が第一」の言い換えであって、両者とも英国流の「第三の道」をモデルにしている。
第三の道」路線は、小泉政権新自由主義改革によってもたらされた格差社会に対する処方箋としては順当な選択である(妥当とはいわないが)。これは小沢だから管だから、というのではなく、現状追認型の日本の政治家がふつうに考えてたどりつく政策理念としては、この「第三の道」か、ブッシュ前大統領の掲げた「思いやりのある保守主義」くらいしか選択肢はなく、自民党が米国流である以上、もう一つの保守政党である民主党は英国流を取るしかなかったわけだ。グローバル化のご時世に、米国流か英国流かしか選択肢がないというのもお寒い限りだが、それが日本の政治の現状というものなのだろう。
それで、なぜだかわからないが英国流を嫌う勢力があって、これが政局に積極介入しているというのが、私の根拠のない見立てである。
仕事のプレッシャーに負けて、こんな与太を飛ばしている私がいちばん胡散臭いのかもしれない。真に受けないでほしい。