実写版『デビルマン』

久しぶりに好い天気なので布団を干して、その時間つぶしに実写版『デビルマン』をレンタル・ビデオで視聴。
なんと言ったらよいのか。事前にさんざんな悪評を目にしていたので、気持ちの準備が出来ていたためか、あれほどの名作をこんなにしやがってと激怒することこそなかったが、やはり疲れた。原作のあのシーンは実写ではどうしたのだろう、という興味だけでなんとか最後まで見た。
牧村家の人々は好演だったし、サブストーリーに永井豪の忘れられぬ短編「すすむちゃん大ショック」(だったっけ?)のエピソードが織り込まれているのも嬉しい。原作ではチョイ役のキャラクターだったもう一人のヒロインを演じた若い女優さんもまあまあ。このサブストーリーの方が面白かった。
そういうトリビアな面白さはあるけれど、個々の俳優の演技や映像にたいする批評以前に、作品としてのまとまりに欠ける。盛りだくさんな割にスカスカした感じ、現代の黙示録にしては物語の厚みに欠けると言ったらよいのだろうか。原作云々は別にして『キャシャーン』の実写版もこんな感じだった。
シレーヌ役の富永愛はさすがトップモデルで綺麗だったけれど、それだけ。アクションを演じられる女優さんを起用して戦闘シーンに力を入れてもよかった。
ジンメンのエピソードも、殺すことと食べることという重いテーマなのになんだかあっけない。
後半の、密告社会化も、パニックによってマイノリティーへの暴力がむきだしになる場面も、リアリティーのある話なのにリアリティーが感じられない。
何を訴えたいのか、的が絞り切れていない。
あ、だんだん悪口を言いそうになってきたのでこの辺でやめておきます(もう手遅れ?)。