今週の「キングダム」

白老の檄、危ういなあ。
言っていることは『孫子』と趣旨はそう違わない。
負けなければ勝ちである。

孫子曰く、およそ兵を用うるの法は、国を全うするを上となし、国を破るはこれに次ぐ。軍を全うするを上となし、軍を破るはこれに次ぐ。旅を全うするを上となし、旅を破るはこれに次ぐ。卒を全うするを上となし、卒を破るはこれに次ぐ。伍を全うするを上となし、伍を破るはこれに次ぐ。このゆえに、百戦百勝は善の善なるものにあらざるなり。戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり。

しかしながら、将兵に対して「我が戦友達/兄弟達…/我が息子達よ」と呼びかけたのはいかがなものか。
これでは戦死者が増えるのではないか。
いま手元に本がないので出典を示すことが出来ないが、たしか『史記』のどこかにこういう話があった。
部下の兵達を手厚くねぎらうことで人望の厚い将軍がいた。
ある戦に際して、息子がその将軍の配下となったことを聞いた母親が嘆き悲しんだ。
人があって、そのわけを問うと、母は次のように言った。
「あの将軍は、日頃から部下に温かく接し、傷病兵には自ら手当をするので、兵達から慕われています。そのため、いざ戦となれば、兵達は命を惜しまずに戦います。私の夫もあの将軍の元で戦死しました。今度は息子も死ぬでしょう。」
はたして母親の言うとおりになった。
記憶違いがあるかもしれないがこんな話だったように思う。