曼陀羅感覚

先日、同好の士の方々に都市論の話をする機会があって、ロラン・バルト表徴の帝国 (ちくま学芸文庫)』の、かの有名な、東京の中心は空虚であるというくだりのある文章をご紹介したのだが、訳文に「曼陀羅感覚」とある。
あれ?ロラン・バルトはこんな密教臭いことを言ったかなと首をひねっていると、横に「キネステジア」とフリガナがふってある。ああ、なんだ、これならキネステーゼのことだろうと、これは意訳です、身体感覚のことですと説明しておいたのだが、あとになって念のため、みすず書房から出た新しい著作集の訳文を見てみたら、やっぱり身体感覚と訳されていた。
本当は、キネステーゼなら運動感覚の方が適訳なのだが、文脈からみてたぶんこうだろうと思って口にした言葉がまんまとあたっていたので、少し勘を取り戻しつつあるかなと自画自賛した。