与党の前文案

読売新聞のニュースより。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060413-00000206-yom-pol
全文はまだか。
とりあえず現行法の前文と見比べてみる。
まずは現行法。

 われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。
 われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性豊かな文化の創造を目指す教育を普及徹底しなければならない。
 ここに、日本国憲法の精神に則り、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するため、この法律を制定する。

次が与党案。

 我々日本国民は、たゆまぬ努力によって築いてきた民主的で文化的な国家をさらに発展させるとともに、世界の平和と人類福祉の向上に貢献することを願うものである。我々はこの理想を実現するため、個人の尊厳を重んじ、真理と正義を希求し、公共の精神を尊ぶ豊かな人間性と創造性を備えた国民の育成を期するとともに、伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進する。ここに我々は日本国憲法の精神にのっとり、我が国の未来を切り拓(ひら)く教育の基本を確立し、その振興を図るため、この法律を制定する。

なんだか似たような文章が二つ並んでいるようにしか見えないが、いくつか目に付いた相違をあげておく。
主語が変わっている。現行法の「われら」が、与党案では「我々日本国民」になっている。
人間観や文化観としては次の点。

  • 現行法の「真理と平和を希求」が、与党案では「真理と正義を希求」に。
  • 現行法にはない「公共の精神を尊ぶ豊かな人間性と創造性」が追加された。
  • 現行法の「普遍的にしてしかも個性豊かな文化の創造」が、「伝統を継承し、新しい文化の創造」に変わっている。

最後に、文科省ご執心の教育振興基本計画の基本法であることが示されている。いっそのこと「教育振興基本計画基本法」と名称も変えたらどうか。