芥川賞

時が滲む朝

時が滲む朝

最近、芥川賞受賞小説なんて読んでないな、と思い立って、書店で受賞作掲載誌を買おうとしたら、もう単行本になっていた。
通勤電車の行き帰りで読み終わる。
面白いし、それなりに感動したし、中国の天安門事件の世代は僕と同世代だから、彼らの過酷な青春と自分ののんびりとした学生時代とを思い比べて、同じ時代の空気というものの類似と差異に感じ入ったりしたが、ちょっと物足りなかった。
芥川賞というと、新しい文学の牽引車と期待される若手のホープに与えられる賞と思っていたから、これで芥川賞受賞作と言われると、ウーンと首を傾げる。
もちろん、そこそこ出来の良い作品だし、興味深い内容ではあるし、つまり悪くはない。悪くはないんだけれども、文学の今後の動向を占うにたるほどのものかと言われれば、どうかなあ、というところかなあ。