63回目の原爆忌

大好きな読売新聞の記事。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080809-OYT1T00292.htm

 長崎平和宣言で、田上市長は、米国で核政策を推進した元国務長官ら4人が「核兵器のない世界に向けて」と題し、米国に核実験全面禁止条約(CTBT)批准などを促した論文を紹介。核保有国に「核軍縮への責務を真摯(しんし)に果たしていくべき」と訴え、日本政府にも非核三原則の法制化などを求めた。

 また、今年が生誕100年にあたり、自ら被爆しながら被爆者救護に力を尽くした医師、永井隆博士の「戦争に勝ちも負けもない。あるのは滅びだけ」との言葉を引用し、平和の尊さを訴えた。

永井隆といえば、クリスチャンだった父が「とても偉い人だ」と言っていたのを思い出す。
だが、「戦争に勝ちも負けもない。あるのは滅びだけ」という戦争観は一面の真実にすぎず、これでは、誰が殺し、誰が殺されたのか、この場合、誰が原爆を投下したのか、という問題があやふやになってしまうように思う。
関連して、永井の戦争観についての高橋哲哉による苛烈な批判には示唆されることが多かった。

国家と犠牲 (NHKブックス)

国家と犠牲 (NHKブックス)

読売の記事の最後はこう締めくくられていた。

 昨年、米国の原爆投下を「しょうがない」と発言し、被爆者らから激しい反発を受け、防衛相を辞任した自民党久間章生衆院議員(長崎2区)が、2年ぶりに式典に出席した。

「戦争に勝ちも負けもない。あるのは滅びだけ」という永井の言葉と、「しょうがない」にはどこか通じるものがあるのではないかと感じられる。