長い蛇足、または羊頭狗肉

某ベストセラー小説の続編を読んだ。
長い蛇足だと感じた。
もちろん、文章やストーリーテイリングにはさらに磨きがかかっていて、たいしたものだとは思うが、作品としてこれでよかったのか、はなはだ疑問。
本編がやや唐突に終わったので、続編が待望されていたわけだが、これならなかった方がよかった。
それにしても、昨日の毎日新聞の書評は何よ、いきなりネタバレはひどい。妻はもう読む気を無くしたらしい。私は半分まで読んでいたので、もったいないから全部読むことにしたけれど。
推理小説じゃないのだからいいというわけにはいかない。この続編は、メインキャラ二人がさまざまな試練を乗り越えて運命の出会いを果たせるかどうかという関心を読者にかき立てて最後まで読ませようという趣向なのだから、結末にはふれるべきではなかった。
続編は書評者の指摘通り、本編に散りばめられた謎めいたモチーフを小説として深めることを放棄している。世界の深淵をのぞき見ることをほのめかすようなイメージも、その一端を担っているらしい宗教団体の教義も、中途半端なまま投げ出された。
登場人物もあっさり処理されている。本編で主人公の精液をしぼりとるような性交を演じた非実在未成年少女(巨乳でパイパンって…どこをターゲットにしているの?っていう感じの)も、本編の後半から主人公の周辺をかぎ回っていた怪しい人物(せっかく続編ではメインキャラの一人に格上げされたのに)も、え?なにそれだけ?って、あっけにとられてしまった。
この続編で捨てられたものを拾っていくと、本編で持ち出された「謎」のように見えるトピックスも、マーケティングで作られたものだったと思わざるをえない。
こうした点で、この続編はストーリー中心のエンタテイメントとして読まれることになるのだから結末を明かしてはいけない。毎日新聞の担当者は、これでは読者から苦情が来ます、と書評原稿を差し戻すべきだった。
金かえせ!(って、誰に向かって叫ぶべきか)。