学園ホラー二本

猛暑の毎日である。老親介護のあいまに妻の目を盗んで大好きなホラー映画をDVDで視聴。

Another アナザー(原作・綾辻行人、監督・ 古澤健

中学校を舞台に、ミステリの手法を使った学園ホラー。たいへん面白かった。
私の記憶が確かなら、アメリカかイギリスの映画で、有名な女優さんの主演した幽霊屋敷ものの映画によく似たタイトルの作品があって、タイトルだけでなく演出上の仕掛けも似たタイプのものだったと思うのだが、正確に思い出せない。
綾波レイみたいな眼帯少女が眼帯外すと特殊能力とか、森の中の合宿施設で大惨事とか、お約束満載なのもよかった。
ただ、このタイプの物語に残酷な描写はたくさんはいらいない。とくに老親を介護している担任教師の死を長々とやってほしくなかったのは個人的な感情だからさておくとしても、クラス委員の首が飛ぶシーンはつまらない。いやこれも憎まれ役を好演していた女優(秋月三佳)をひいきしているだけかもしれないが。
アナザー Another スタンダード・エディション [ 山崎賢人 ]

桐島、部活やめるってよ(原作・朝井リョウ、監督・吉田大八)

「Another アナザー」の眼帯少女が出ていたのでこれもいっしょに見た。
バレー部のエースでクラスのリーダー的存在でもあったらしい生徒・桐島が突然姿を消す。クラスメイトに動揺が広がり、交友関係の歯車が少しずつ狂っていく。桐島の不在によるフラストレーションはバレー部内でのリンチめいたしごきや、桐島のガールフレンドを中心とした女子生徒のグループの不和も生み出す。一方、部活の場所をめぐる映画部と吹奏楽部の対立もエスカレートして、放課後は混とんとした状況になる。劇中、帰宅部生徒たちによる『ゴドーを待ちながら』のパロディもはさまれていて楽しい。
そして、ついに桐島が登校したという噂が校内をかけめぐり、関係者が校舎屋上に集合する。そこにゾンビの群れが襲来して生徒たちを喰い殺すのがクライマックスなのだが、残虐描写はあたかも古い映画の一シーンの引用のようなトーンで抑制され、全体としては少年少女たちの不安や焦燥感を描く演出になっている。問題の桐島が最後まで姿をあらわさないというのも謎を残すかたちになっていてよい。
せっかく高校を舞台にしたのだからもう少し学校の怪談テイストを効かせてもよいのにとも思ったが、この映画の眼目は、若手俳優たちの生きのいい演技を見せることを主とした青春群像劇なのだろう。とくに映画部(神木隆之介)と吹奏楽部(大後寿々花)、帰宅部東出昌大)、バトミントン部(清水くるみ)の生徒を演じた役者が好演。
とにかく猛暑である。頭がおかしくなるくらいに暑い。あまりの暑さにとんちんかんなことを言ったとしても許してほしい。
桐島、部活やめるってよ [ 神木隆之介 ]