歴史

時代劇的想像力

渡辺京二『維新の夢 渡辺京二コレクション[1] 史論 (ちくま学芸文庫)』に「徳川システムは根本的な改革を必要とする時機にさしかかってはいたが、十九世紀中葉においては社会は変革前夜の緊迫した様相を決して呈していなかった」(「カオスとしての維新」)…

明治維新のイメージ

明治国家をデザインした思想というものがあったのだろうか。 例えば、イギリスにおけるロック、フランスにおけるルソー、ドイツにおけるフィヒテのような、政変に先立って、実現すべき国家体制を予言者的に提唱した思想家が思い当たらない。 水戸学、陽明学…

義父の沈黙

長崎新聞の記事から。 核廃絶「できない」4割、抑止論が壁 長崎新聞社被爆者アンケート http://www.nagasaki-np.co.jp/kiji/20100809/02.shtml この記事の最後に以下のような記述があった。 今もケロイドに悩み「一度ノースリーブを着てみたい」と告白する…

兵馬俑についての珍仮説

一読して、それは違うだろう、と感じたのが次の朝日新聞の記事。 兵馬俑 定説巡り論争「始皇帝と無関係」研究者提起 http://www.asahi.com/culture/news_culture/TKY200812230094.html

親の死を願う

Apemanさんが次のような言葉を紹介しておられる。http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20080815/p1 戦後、とりわけバブル景気華やかだったころ、数多くの戦友会によって頻繁に行われた慰霊祭の祭文に不思議に共通していた言葉がありました。 「あなた方の尊い犠牲…

建国の精神?

昨日は建国記念日ということで、八木秀次氏の『「建国の精神」に立ち返ろう』と題されたコラムを見る。 id:toldさんに「揚げ足とりはいけません」とまた叱られるかもしれないが、なんとなく悪戯心を誘う文章である。そういう意味では八木氏の文章は魅力的な…

自由民権の限界について

色川大吉『自由民権 (岩波新書 黄版 152)』を読んで、いささかネガティブな気分になっている。 この本を書架から引っ張り出したのは、正月に読みかけた牧原憲夫『民権と憲法―シリーズ日本近現代史〈2〉 (岩波新書)』に「問題点についての目配りも周到」「「…