楚狂接輿

ついさっき、昼食をとりに事務所を出たら、ビックリするようなことがあった。
午後1時過ぎのことである。
道ばたに靴下や靴や薬袋などが点々と散らばっていて、新目白通りの真ん中に服らしきものも落ちている。
道ばたに近所の奥さんが不安げに立っているので「どうしたんですか」と声をかけると、男性が所持品や衣服を投げ捨てて、裸のまま歩いているのだという。
見ると全裸の成人男性が新目白通り中央分離帯に立っている。両手を高く挙げて万歳をするような格好で何か叫んでいる。
その場に居合わせた人たちはみな仰天して、あれ危ない、車にひかれるぞ、警察を呼べ、いや救急車が先だ、と携帯電話を取り出した。
裸の男性はその様を笑いながらながめているようだった。
やがてパトカーがやってきて男性を収容して連れ去った。
聞けば近所に住む人で、心の病を患っているのだという。
ビックリついでに、『論語』だったか『荘子』だったか、楚狂接輿のエピソードを思い出した。

鳳よ鳳よ、何ぞ徳の衰えたる。往く者は諌むべからず、来たる者は猶お追うべし。已みなん已みなん。今の政に従う者は殆うし。