川原泉『笑う大天使』asin:B00007CDQOそうだ。驚いた。
少女マンガの映画化は難しい。第3巻で描かれる3人のヒロインの後日談をカットすれば、映画の原作として分量的にはちょうどよいのかも知れないが、あの作品の味わいを出せるのだろうか。
『笑う大天使』は3人の女子高生が活躍する話なのだが、恋愛の要素が非常に薄い。カットされるだろう(と決めつけている)後日談では彼女らを見守る3人の男性との関係が描かれるが、メインストーリーでは彼らはあくまでも保護者(兄、教師、後見役)という立場である。
むしろ、彼女たちが置かれた環境(上流子女の通うお嬢様学校)になじめない場違いの感覚を持てあますところがあの作品の持ち味のように思うのだが、あの感覚をどうやって出すのだろう。これは脚本や演出の問題だ。
3人のヒロインを演ずる若い女優さんの名前も出ていたがどの人も知らない。いずれ可愛らしいお嬢さんなんだろうが、役者としてはどうなんだろう。女子校が舞台なので美少女をズラリとそろえればそこそこの人気は出るだろうが、作品として成功するのだろうか。
原作に沿った脚本、ということが前提の話だが、ギャグありアクションありの楽しい話、というだけでは川原ファンは納得するまい。
それに今、川原泉で撮るなら『美貌の果実 (花とゆめCOMICS)』じゃないか?あのなかの短編をふくらませればよい映画になると思うのだが、『笑う大天使』に飛びつくあたりに安易な意図(お話が面白いし、可愛い女の子を大勢出せるし)を感じる。
あるいは気鋭の若手女優をズラリとそろえて連続ドラマで『メイプル戦記』asin:B00007CDQM。監督役には山口智子がいいなあ。コーチ役は長島ジュニアか。もちろん星野、落合、王にも出演してもらう。あ、これじゃ『笑う大天使』と同じか。騙るにおちた。
かつて吉田秋生『櫻の園 白泉社文庫』が映画化されたことがあった。そのときは原作を読む前に観たためか映画には映画のよさがあると思えたが、川原作品は一通り読んでいるので評価のハードルが高い。これもビデオ待ちか。
吉田秋生で思い出したが、彼女の長編『Banana Fish』をハリウッドか香港に持ち込んで映画化した面白いだろうに。
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佐伯日菜子といえば、テレビドラマ『トリック』で仲間由紀恵と対決した回は鬼気迫る演技だった。『エコエコ』佐伯と『リングO』の仲間!ホラーファンにはウットリするような組合せ。佐伯がパントマイムで演じる遠隔殺人シーンには倒錯したエロティシズムすら感じられた。
あの回のストーリーは舞台劇にもできそうな気がする。役者の技量が露骨に出るから、悪趣味な見方もできそう。