天狗の起源

天狗はどこから来たか (あじあブックス)

天狗はどこから来たか (あじあブックス)

これは実に面白かった。
面白いだけではなく、長いこと首をひねっていた天狗の起源とイメージの成立過程についてみごと解き明かして見せてくれた。
画期的といってもいいのではないか。
本書は、一言で言ってしまうと、天狗中国起源説なのだが、それでは「天狗(てんこう)」という語は『史記』にも『山海経』にもあることは周知のことだから目新しくもないということになってしまう。
しかし本書が挑むのは天狗(てんこう)のことではなく、あくまでも背中に羽が生えて、鼻が高かったりくちばしがあったりするあの天狗(てんぐ)のことなのだ。
なんと言ったらいいのだろう、本書の中の言葉を使うなら「国際ネットワークを持つ妖怪」「グローバルな妖怪」としての姿を描き出したというところだろうか。
以前、Arisanさんが「ぬらりひょん」のネーミングについて古い朝鮮語に由来するのでは、という驚天動地の仮説を示されたが、それに通じるものがある。http://d.hatena.ne.jp/Arisan/20070707/p2
昨年暮れの刊行だが、ちょっと例外で、今年の10冊入り決定。