朝日新聞は取り上げないが

こういうニュースが出ていた。

小沢氏秘書、起訴事実は否認=弁護人「認める報道、異なる」−西松献金
3月27日18時11分配信 時事通信

 小沢一郎民主党代表の資金管理団体陸山会」が西松建設から違法献金を受けたとされる事件で、会計責任者の公設第一秘書大久保隆規被告(47)=政治資金規正法違反罪で起訴=の弁護人が27日、「大久保被告が起訴事実について、大筋を認めている報道がなされているが、弁護人らの認識は全く異なっている」とするコメントを発表した。
 関係者によると、同被告は逮捕当初から、「政治資金収支報告書の虚偽記入には当たらない」などと一貫して主張しており、起訴事実についても否定しているとみられる。
 小沢氏は同被告が起訴された24日夜、記者会見し、「献金を受けた事実をそのまま報告し、相手方をそのまま記載するのが規正法の趣旨であると理解しており、その認識の差が起訴になったと思う」などと述べていた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090327-00000122-jij-pol
これは本当か。
小沢代表の続投会見の直後、逮捕された秘書が起訴事実を認めたというニュースが流されていた。

【西松献金】小沢氏秘書、起訴事実認める
3月25日11時19分配信 産経新聞

 小沢一郎民主党代表の資金管理団体陸山会」の政治資金規正法違反事件で、起訴された会計責任者で小沢氏の公設第1秘書、大久保隆規被告(47)が、起訴事実をおおむね認めていることが25日、捜査関係者の話で分かった。

 起訴状などによると、大久保被告は平成15〜18年、陸山会などが実際には西松建設から受領した3500万円の献金を、西松のダミーの政治団体新政治問題研究会」と「未来産業研究会」から受けたとする虚偽の記載を政治資金収支報告書にしたなどとされる。

 捜査関係者によると、大久保被告は今月3日に東京地検特捜部に逮捕されて以降、「政治団体が西松のダミーだとは認識していなかった」と一貫して容疑を否認していたとされるが、最近になって、虚偽記載などについて、おおむね認める供述を始めたという。

 一方、西松前社長の国沢幹雄被告(70)は、当初から「政治団体はダミーで、大久保被告も献金が西松からだと認識していた」と容疑を認めていた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090325-00000534-san-soci
産経は「おおむね認める」だが、読売は「起訴事実の一部を認めているという」とトーンダウンしている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090324-00000987-yom-soci
取材源はいずれも「捜査関係者によると」となっている。これはおそらく同一人物だろうから、「おおむね」と「一部」の違いは記事を書いた記者の印象だろう。
いずれにせよ冒頭に掲げた時事通信の続報が事実なら、それ以前のものは誤報か偏った報道、少なくとも裏付け取材を怠った報道ということになるはずなのだが、朝日新聞をはじめ大手マスコミは取り上げない。
松本サリン事件のときのように捜査当局サイドの情報のみを無批判に報じているのではないか、という疑念がおさえられない。
松本サリン事件のときには、被害者の一人が容疑者扱いされて新聞社・テレビ局をはじめとするマスコミ各社の集中砲火を浴び、あることないこと報じられた。当時、現地で取材にあたったという某大手紙の記者と偶然知り合って、どうしてあんなことになってしまったのかと尋ねたことがある。
彼曰く、大事件であったのに真相はなかなか見えてこず、マスコミの独自調査も手詰まりになり、ついつい捜査当局から小出しにされる情報を追いかけているうちにああなってしまった、思えば、捜査当局が容疑者と目していた一市民が容疑を否認していたため、マスコミを通じて周囲に揺さぶりをかけようという作戦だったのだろう、それにまんまと乗ってしまった、と悔やんでいた。
私には、今回の一件でもそれに類したことが行われているのではないかという不安を打ち消すことができない。
もしそうだとしたら、その先にはどういうことが待ちかまえているのだろうか。

追記

夕刊フジの記事によると、弁護団のコメントは下記の通り。http://news.nifty.com/cs/domestic/societydetail/fuji-320090328201/1.htm

 「大久保隆規氏の起訴後、新聞、テレビ等において、同氏が政治資金規正法違反に係る起訴事実について、その大筋を認めている等の報道がなされているところですが、同氏の弁護人らの認識は全く異なっております。この点について、検察庁が前記の報道内容に沿った事実を公表することなどあり得ないことから、誤解に基づく報道ではないかと考えております。公判に向けて予断を排除するためにも、今後は、十分な取材に基づき、客観的かつ公正な報道を行っていただきますよう申し入れます」

検察庁が前記の報道内容に沿った事実を公表することなどあり得ない」のであれば、産経と読売の異口同音の記事にあった「捜査関係者」とは誰のことなのだろうか?
ますますわけがわからない。

お詫びと訂正

上記記事のうち、表題「朝日新聞は取り上げないが」と以下の部分が間違っていました。

いずれにせよ冒頭に掲げた時事通信の続報が事実なら、それ以前のものは誤報か偏った報道、少なくとも裏付け取材を怠った報道ということになるはずなのだが、朝日新聞をはじめ大手マスコミは取り上げない。

朝日新聞は取り上げないどころか、しっかり書いていました。
「報道違う」小沢サイド 朝日新聞にカミつく? http://news.nifty.com/cs/headline/detail/gendai-02040705/1.htm

 西松建設の違法献金事件で叩かれっ放しの小沢サイドが、マスコミ報道にカミついた。

 起訴された大久保秘書の弁護士が27日、「大久保被告が起訴事実について、大筋を認めている報道がなされているが、弁護人らの認識は全く異なっている」とコメントを発表したのだ。関係者によると、大久保秘書は一貫して逮捕容疑、起訴事実を否定しているという。

「小沢サイドを怒らせたのは26日夕刊の朝日新聞の記事でしょう。『小沢氏秘書、違法献金認める供述』とデカデカ報じていますからね。その前々日、毎日新聞などは『大久保秘書、否認のまま起訴へ』と報じましたが、朝日がひっくり返した。西松事件で検察情報にいちばん食い込んでいる朝日の報道だけに、だれもが“大久保秘書はオチたのか”と思ったものです」(報道関係者)

 だが、それに弁護士が反論したのだ。小沢報道では常に先頭を走る朝日新聞。「検察リーク」とみられる情報をこれでもかと流して、一部で「やりすぎ」の声も出ていたが、公判になって大久保秘書が全面否定しても、検察サイドに立って起訴事実を支持していくつもりなのか。

 朝日はちょっとおかしい。

日刊ゲンダイ2009年3月28日掲載)

「26日夕刊の朝日新聞の記事」を見落としていました。
まことにお恥ずかしいかぎりです。
つまり、朝日新聞はこの件を取り上げないどころか、産経や読売と同様の記事を掲載していたわけでした。
お詫びして訂正します。