ハッカー宣言

たまには最近の新刊も読んでみようと、新しもの好きの好奇心が湧いて書店の人文書新刊コーナーで見つけた『ハッカー宣言』を購入。
派手な色合いの表紙が気に入った。

ハッカー宣言

ハッカー宣言

ハッカーという言葉には怪しい響きがある。とはいえ『ハッカー宣言』と題された本書はコンピュータ犯罪の手引き書でもなければ、犯罪者の告白でもない。

このマニフェストは「ひとつのハッカーマニフェスト」であって「唯一のハッカーマニフェスト」なのではない。「ひとつのハッカーマニフェスト」は、他者からの、あるいは自分自身すらからも差異化するということだ。ハックするということは、差異化するということだ。

著者はアメリカのドゥルージアンと目されるメディア論の研究者。389の短いパラグラフで構成された本書は、ちょっと見た目には『論理哲学論考 (叢書・ウニベルシタス)』みたいな感じ。
世界を「ベクトル階級」と「ハッカー階級」の抗争の場として描き出している。
そう言われても、なんのことやら?と怪訝に思うのだが、SF小説みたいな設定なのに内容ははなはだ抽象的。
だが、読み進めていくと「抽象化」という言葉も本書のキーワードのひとつであるようだ。そうだとするとどうやら表現が抽象的であることも本書の戦略のひとつということか。
そう思って読むと抽象的であるだけに、さまざまな具体的な現象について当てはめられるような気がしてくる。
まだパラパラと目を通した程度なので、感想はいつかあらためて書こうと思う。
積ん読にはしないぞ、と自分に言い聞かせるために。