懸案のベンヤミン『暴力批判論』

ようやくかねてから懸案のヴァルター・ベンヤミン『暴力批判論』ISBN:4003246314

暴力批判論の課題は、暴力と、法および正義との関係をえがくことだ、といってよいだろう。

冒頭の文章。「暴力と、法および正義との関係」とはどういうことなのか。暴力と何かの関係であることはわかるが、法と正義の間にある「および」はどういう意味なのか。暴力と関係する法と正義はどういう関係にあるのかにも注意して読んでいく。
すると第2行目でいきなりつまずいた。

というのは、ほとんど不断に作用している一つの動因が、暴力としての含みをもつにいたるのは、それが倫理的な諸関係に介入するときであり、この諸関係の領域を表示するのは、法と正義という概念なのだから。

形式的には第1行目の文章の理由を説明しているのだが、なにも説明された気にならない。「ほとんど不断に作用している一つの動因」とはなんのことだろうか。「倫理的な諸関係」の「領域を表示するのは、法と正義という概念」だというのはなんとなくわかるが、「法と正義という概念」は法的な諸関係や政治的な諸関係の「領域を表示」することもありそうだ。
こんなことで読み終える日が来るのだろうか。早くも悲観的な気分。