哲学

坂部恵氏

坂部恵氏が亡くなられたそうだ。 http://mainichi.jp/select/person/news/20090604k0000m060091000c.html 訃報:坂部恵さん73歳=東大名誉教授、哲学者 東大名誉教授で哲学者の坂部恵(さかべ・めぐみ)さんが3日、神経膠芽腫(こうがしゅ)のため死去し…

ベンヤミン「暴力批判論」再考

余暇を利用してベンヤミン「暴力批判論」のとくに後半部分を再読した。 以下長文。

アリストテレスの知慮11和辻哲郎の解釈

フロネーシスのおさらいがずいぶん長くなった。 最後に和辻哲郎『ポリス的人間の倫理学』を一瞥しておく(和辻哲郎全集第7巻)。

メルロ=ポンティの癒合的形態

猿虎さんのご論文に勝手に注。 http://d.hatena.ne.jp/zarudora/20090402/1238695509 メルロ=ポンティは『行動の構造』において、行動を「癒合的」、「可換的」、「象徴的」の三つの形態に分類できるとして、癒合的形態については次のように規定している。 …

アリストテレスの知慮10

sumita-mさんからアーレント解釈の恣意性について、id:kurahitoさんからハイデガーについてお茶を濁したことについて、手厳しいご批判をいただきました。 ご批判を無にしないためにも充分なおさらいをして応答したかったのですが、仕事や家事に追われて御返…

アリストテレスの知慮9

さて、ハイデガーのアリストテレス解釈を読んでいるうちに、いつの間にか主客転倒してアリストテレスによるハイデガー解釈を始めてしまいそうな妙な雰囲気になってきたので、ムム、これは彼奴の術中にはまりかけているな、さてはこの手で若い者をたぶらかし…

アリストテレスの知慮8ハイデガーの解釈2

引き続きハイデガー『アリストテレスの現象学的解釈』を読んでいる。 解釈では同時に、アリストテレスがどのような方法で思慮の現象を顕在化させているかが述べられる。アリストテレスは、何々へと関わっていること(志向性)、その関わりの向かう先(志向的…

アリストテレスの知慮7ハイデガーの解釈1

前回、「知慮(フロネーシス)」についてのアーレントの解釈を引いた際に、彼女はハイデガーの弟子だからアリストテレスは当然というようなことを書いたが、それなら当然のこと、ハイデガーの解釈も当たるべきだった。 恥ずかしながら、ハイデガーといえば存…

アリストテレスの知慮6アーレントの解釈

ペリクレスはひとまずおいて、徳としての「知慮(フロネーシス)」についての諸先達の見解をながめてみる。 アーレントの解釈 アーレントは「文化の危機」において政治的判断力について次のように言っている(引用は『過去と未来の間――政治思想への8試論』p2…

アリストテレスの知慮5あるいはペリクレス3

参考のためにちょっと寄り道したつもりだったのが、だんだんペリクレスという政治家の人物像の方が面白くなり、アリストテレスなどどうでもよくなりつつある。

アリストテレスの知慮4あるいはペリクレス2

アリストテレスが『アテナイ人の国制 (岩波文庫 青 604-7)』で、ペリクレスの裁判員手当制度について「その結果、常にしかるべき人々よりもむしろ凡俗な人間がこれに選ばれようと熱心に籤を抽くので悪くなったと非難する人もいる」と書いていたが、この「非…

アリストテレスの知慮3あるいはペリクレス

古代アテネの政治家ペリクレスについて私は詳しいことは知らない。それでいて、アリストテレスの云う知慮とは、知慮ある人として挙げられたペリクレスの政治活動をモデルとしたのであろうと推測した。まことに浅慮で、軽率の極みである。なぜなら、ペリクレ…

アリストテレスの知慮2

賢慮と訳されることもある知慮(フロネーシス)は、他の知性(技術(テクネー)・学(エピステーメー)・智慧(ソフィア)・直知(ヌース))との対比によって、いろいろな定義もなされているので、それらを片端から抽出して再構成的に理解するということも…

アリストテレスの知慮

こんなご時世だからこそ、腰を落ち着けて本を読まなければ、と思って、学生時代に読んだアリストテレス『ニコマコス倫理学〈上〉 (岩波文庫)』を引っ張り出した。花粉のせいか目がしばしばする上に集中力減退が著しくなかなか読みすすめられないが、通勤電車…

アリストテレス『政治学』第七巻

久しぶり(25年ぶり)にアリストテレス『政治学』のおさらいをした。

デリダと歴史修正主義についての補足

第一回ツネオ杯http://d.hatena.ne.jp/toled/20081128/p1について、ここ数日、お見苦しいところをお見せしました。 gorgeさんから晩ご飯の記録の方にいただいたコメントに御返事しているうちに、また、takashiさんからのお問い合わせにお応えしているうちに…

カントの自殺論メモ

世間ではいろいと騒動があるようですが、僕はこのところ騒動は仕事だけで十分というくらいに疲れ切ってしまっていますので、のんきにカントを読んでいます。

不穏な注

いま読んでいるレーヴィット『共同存在の現象学 (岩波文庫)』で不穏な気配のする箇所に行き当たったのでメモしておく。「人間の「自律」のカントによる基礎づけ」を論じた第39節である。

「責任」という語について

ずいぶん前に書いた日記に、ブックマークやら☆印やらトラックバックまでいただいてビックリしています。 http://d.hatena.ne.jp/t-hirosaka/20051006/1128583365 トラックバック下さったsumita-mさんの記事では、私の元記事で主に取り上げた高橋哲哉氏の応答…

『クリトン』

格言「悪法も法なり」がソクラテスの言葉ではなかった件に関して、文字通りそう言ったのではなくても、そういう趣旨のことを言ったということがあったのか気になって、ひさしぶりにプラトン対話編(これに関連するのは『クリトン』しか思い当たらない)を引…

「悪法も法なり」

最近、驚いたことがあったのでメモしておく。 ソクラテスが刑死の際に遺した言葉として知られている「悪法も法なり」とは、実はソクラテスが言ったのではないらしいということに気づいて、ビックリ仰天した。 プラトンの対話編には、ソクラテスが「悪法も法…

26年前の「現代思想」誌

手元に「現代思想」誌の1982年1月号がある。特集テーマは、ジュリア・クリステヴァの来日を受けて組まれた「現代フランスの思想」である。

デリダの「差延」(写経)

哲学の余白〈上〉 (叢書・ウニベルシタス)作者: ジャックデリダ,Jacques Derrida,高橋允昭,藤本一勇出版社/メーカー: 法政大学出版局発売日: 2007/02/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 6回この商品を含むブログ (18件) を見る読んでわかる(ような気が…

複数性について(写経)

複数性についてのアーレントの覚書を写経する。

『人間の学としての倫理学』2−功利主義

シジウィックの楽しいお話について妄想にふけっていたら、頭のいい方々が「擬似科学」をめぐってドンバチ始めたのでびびりました。 さて、和辻哲郎が個人主義倫理学として名指ししたシジウィックについて、邦訳はないとこのあいだ書いたけれど、あれは間違い…

人間の学としての倫理学

学生時代、きちんと勉強しなかったことがコンプレックスになっていて、周期的に哲学史のおさらいをしなければ、という強迫観念に取り憑かれる。人間の学としての倫理学 (岩波文庫)作者: 和辻哲郎出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2007/06/15メディア: 文庫…

キルケゴールにとってのフォイエルバッハ

ふと思いついたことがあって、学生時代にお世話になった恩師のキルケゴール論を少しだけ拾い読みする。

「責任」という漢語の来歴

「責任」という漢語の来歴が気になって、カント先生に八つ当たりしていたが、私のようなド素人が手近にある本を読み返した程度ではどうにもなるものではなさそうだ。 幸い、今朝、図書館に行く時間を確保できた。昨日、妻が図書館に返し忘れた本があることが…

「責任」はどこにある?

「責任」という語の意味が気になって、『広辞苑』に出典として示された『荘子』にさかのぼってみたが、結局よくわからなかった。 ふと、カントの道徳哲学関連の本をパラパラとめくってみた。

パトチカ6

これはパトチカの想定していることとは違うかもしれないが、魔法の世界を思い浮かべている。 言葉通りの魔法でもあれば、イメージによる魔法も、恋の魔法、金の魔力、権力の魔力、いろいろあろう。何かに取り憑かれて我を忘れ、全能感にひたるということは特…